第23章 新皇后誕生

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懐仁様は酷く穏やかな微笑みを浮かべながらそう言ったのでした。 皇女様はそんな目の前の懐仁様の姿に言いようのない不安を覚えたのでした。 そしてその不安を無理やり拭い去るように皇女様は懐仁様の袖をぎゅっと強く握ったのです。 「聡子…」懐仁 少し震える手で強く袖を掴む皇女様の姿を見つめながら懐仁様はそう呟くと皇女様は懐仁様から目線を外し、下に目線を向けると言ったのです。 「左様な事、仰らないでください!」若草宮 「私より先に逝く折は必ず私の傍が良いなど…それではあまりにも…勝手が過ぎるのではありませんか」若草宮 「聡子よ…すまぬ、不安にさせてしまったな…」懐仁 懐仁様は己の袖を握る皇女様の手にそっと優しく己の手を重ねるとそのまま何も言わず懐仁様は皇女様の手をそっと握りしめたのでした。 その握りしめられる手の暖かさに皇女様は懐仁様の確かな存在を感じ、それまであった不安は全て綺麗に消えていったのでした。
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