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皇女様は懐仁様と目が合い少しの間互いに静かに見つめていたのでした。
そして皇女様は静かにその潤んだ瞳の瞼をゆっくりと閉じ、御心を決めたのでした。
そして皇女様は重い口をゆっくりと開けて言ったのです。
「…私の望みは…橙子を守ることですーー」若草宮
皇女様はその言葉をやっとの思いで懐仁様に言ったのでした。
懐仁様はゆっくりと手を伸ばし皇女様の頬を撫でたのでした。
「…懐仁様…」若草宮
「ー何故、己の望みを言いながら、斯様に涙を流すのだ」懐仁
懐仁様は親指でそっと皇女様の涙を拭いながらそう言ったのでした。
皇女様はその懐仁様の言葉に驚いた表情をしたのでした。
皇女様は懐仁様に言われるまで自分が涙を流している事に気づいていなかったのです。
皇女様は思わず懐仁様から顔を下に背けたのです。
「申し訳ありません…」若草宮
皇女様は顔を背けながら懐仁様にそう言うと、懐仁様は皇女様の肩を持ち自分の方へと引き寄せて抱きしめたのでした。
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