第23章 新皇后誕生

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「懐仁様…」若草宮 「…余はそなたを愛しく想うておる、故に、そなたがそう言うのであれば、それを叶えてやるしかないではないか…」懐仁 懐仁様は皇女様を優しく抱きしめながらそう言ったのでした。 そして皇女様は懐仁様の言葉に涙をとめどなく流しながら抑えきれない想いを口に出したのでした。 「誠はっ…懐仁様のお側に居たかったっ…いつも、貴方様の隣りに立ち、共に平安な世を見守っていたかった…!」若草宮 この時、皇女様は初めて、一人の母君としてではなく、ただの女人として若草宮聡子としての本心を涙を零しながら懐仁様に告白したのでした。 「…聡子よ」懐仁 懐仁様は初めて聞く、皇女様の女人としての本心を知り、己の無力さと不甲斐なさを心底恨んだのでした。 懐仁様は皇女様を抱く腕に力を入れながら片方の瞳から一滴の涙を零したのでした。 「すまぬ…余は、帝となってもなお、そなたを苦しめることしか出来ぬーー」懐仁 「どうか、こんな余を許さないでくれ…」懐仁 懐仁様は今にも溢れそうな涙をぐっと堪えながら皇女様にそう言ったのでした。
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