第23章 新皇后誕生

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それから少しして懐仁様は抱いていた皇女様の体をそっと、その腕の中から解放したのでした。 そうして再び皇女様と懐仁様は見つめ合うと、懐仁様は微笑みながら言ったのです。 「これから先、何があったとて余の心を信じてくれるか…」懐仁 「懐仁様…」若草宮 「何があっても、余の心には聡子ーそなたがいるのだと」懐仁 「…懐仁様も信じて頂けますか…何が起ころうと私の心にはいつも、懐仁様がいるのだと…信じて頂けますか」若草宮 「ああ…聡子よーーー」懐仁 皇女様は懐仁様の言葉を聞き、とても穏やかな笑みを浮かべられたのでした。 そしてその笑みは悲しいほどに美しく切ないものだったのです。 それからまもなくして懐仁様はその場を後にしたのでした。 皇女様は去りゆく懐仁様の背を遠く見えなくなっても見続けたのでした。 「懐仁様……」若草宮 皇女様はもうその名を呼ばれて振り向く者が居ない事を知りつつも愛しいその名を呼ばずにはいられませんでした。
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