第23章 新皇后誕生

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第23章 新皇后誕生

それから少しして懐仁様は少し落ち着いた様子の皇女様をそっと己の腕の中から解放したのでした。 皇女様の瞳はまだ涙を湛えたまま潤んでいました。 解放された皇女様のお顔をそっと懐仁様が見つめると、その潤んだ瞳は酷く美しく見え、懐仁様は思わず息を呑んだのでした。 そして先に口火を切ったのは懐仁様でした。 「ずっと会いたかった…そなたを失ったあの日からずっと余は、己の無力さを恥じたーー」懐仁 「懐仁様…」若草宮 「…いっそ、死にたいとも、一時は思った」懐仁 「え…」若草宮 皇女様は懐仁様の言葉に酷く動揺したのでした。 そして心配そうに見つめる皇女様に気づいた懐仁様は少し微笑みながら言ったのでした。 「案ずるな、余は死なぬ…もし余がそなたより先にあの世へと逝かなければならなくなったその折は…必ず聡子よ、そなたの傍に居りたいーー」懐仁 「懐仁様…」若草宮 「…余の傍にそなたが居れば、どのような一生を迎えようと最期は穏やかに逝くことができる」懐仁
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