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「ちょっと」
「はい」
「なんで相手の男ども、あんなにブサイクなの」
「え、ブサイクとおっしゃいますと」
「見ればわかるでしょう。今度の男たち、イケメン揃いと聞いたから合コン楽しみにしてきたのに」
「そうおっしゃられましても、店としましてはお客さまの予約を承るだけでして、お客さまがどんな方々かは、失礼ながら預かり知らないところでして」
「それがそうとは思えないのよ」
「と、おっしゃいますと」
「隣の部屋の合コンがちょうど逆なの」
「逆?」
「つまり男がイケメン揃いで、女がブスばっか」
「それがそちらさまの逆、でしょうか」
「そう」
「その逆といいますと、つまりそちらさまは殿方がブサイクで、お嬢さま方が美女揃い、とこういうわけでございますね」
「そうよ、何よその顔。自分たちで自分たちを美人と言って文句ある? 私たちはね、これでもモデルやってるのよ。信じられない?」
「いえ、とんでもございません。しかし、話を戻しますが失礼ですが、お集まりのご容姿に偏りが生じましたというのは単なる偶然では」
「いいえ、そんなことない。幹事が間違えたのよ。うちのブサイク男たちの幹事に聞いたら、部屋間違えたって」
「え、失礼ですが、どちらさまのお名前で予約なさいましたでしょうか」
「ほら、これ」
「なるほど、4号室でございますね」
「それから、もう一組の」
「なるほど、4号室でございますね」
「ほら、同じだろう」
「左様でございます。えー、しきりを入れて、お二組さまにご利用いただいております」
「だったら、しきりを外せ」
「は?」
「しきりを外せと言ってるの」
「それは、お客さま方が同意なされば、その部屋のご利用方法はご自由でございます」
「じゃ、外していいのね」
「はい」
はい、がらがらがら、と。
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