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世の中には二種類の人間がいる。
自分が手にするプレゼントを自ら選びたい人間と相手に選んで欲しい人間だ。
この分類でいくと優衣(ゆい)は圧倒的に前者、優衣の夫は後者。ふたりの主張は付き合った頃から結婚して子をもうけても平行線のまま。
あれは確か大学を卒業する直前に夫婦となる前の夫と二人で歩いた駅前の街路樹。木々は紅葉に忙しく、春には就職で東京と大阪に離れてしまう優衣たちふたりもまた忙しかった。
「私、婚約指輪は自分で選びたいな。」
交際は2年に迫り、間近に迫った遠距離恋愛にビビりがあった。だがそれは相手も同じ。
その後、優衣は自分好みの婚約指輪を選び、幸せに包まれて結婚した。ふたりは家族になった。
だけど優衣は知っている。夫は屈したのでなくあわせてくれているだけだと。
二人はまだ平行線のまま。
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