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慌ただしくリビングを走り回る優衣。外出の準備中である。まるで遠足前の小学生のように興奮を抑えきれず口元はいつになく緩い。
夫の直近のオススメ本を一度カバンにしまい、思い直してやっぱりだす。嵩張るのはいやだ。
何しろ2年ぶりの自由だ。
息子はかわいい。擦りきれるほど使い古された言葉だか”目に入れても痛くない”程に愛している。だけど今日ばかりはそれはそれ。
出産を終えて初めてのひとりの外出。友達とのランチ。婚約指輪さえ装備した浮かれ具合も許して欲しい。
日頃イクメンを気取っている夫は恐らく本日大きな挫折を味わうだろう。それでも優衣の気持ちは心配よりワクワクが大きい。
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