二章 最強パーティーからの制裁

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「おりゃぁあ!!」 高い雄叫びを上げながら振り上げたアルストリアの剣が、魔獣の腹を切り裂いた。 これで依頼は完了。後は報酬を貰いに帰るだけだ。 「案外簡単だったね!」 「簡単じゃないわよ!案外すばしっこくて、折角綺麗にしたお化粧が汗で台無しになったんだからぁ~」 「いや、あんた等何もしてねぇだろ。動いてたの俺とアルストリアだけだったんだけど」 冬野はビビッて隅っこで隠れてるし。 「あら?だってアタシの専門は弓だもの。敵に近づいて戦うのは五十嵐ちゃん達の仕事でしょ?」 「じゃあ少しは矢を当てろ!!」 「いやねぇ~。アタシの矢は、良い男しか当たらないのよ?」 得意げにウインクされても、不快感しか湧かない。 「あ、あの……す、すみません。私ずっと隠れてて……」 魔獣が全部いなくなったことを見計らって、ようやく顔を出す冬野。 ホントだよ。少しは魔法で加勢してくれよ。 ま、おっぱいデカいから許すけど。 「あはは!相変わらずカレンちゃんは怖がりだなぁ!大丈夫!この俺が守ってやるから安心しな!」 何を格好つけてるんだか。 ま、アルストリアは冬野に気があるんだろう。好きにさせとこう。 「ほらぁ~早く帰るわよ!」 「僕お腹空いたぁ~」 「いやいや。来る前にたらふく食ってるはずだよな?」 「僕、成長期だから!」 成長期で片付く量じゃないんだが?ホント毎回毎回出費がバカにならねぇし。 「はぁ~……」 「オイオイ五十嵐!溜息ばかりついていると、幸せが逃げちゃうぜ!」 「あぁはいはい」 「五十嵐さん、もしかして私に怒ってますか?ご、ごめんなさい……」 「いや、別に怒ってねぇから」 「そうよ。五十嵐ちゃんは元からこんな人でしょ?」 「やっぱ許さん。ネイルだけな」 「あらやだ。どうしてアタシばかりいつもそう突っかかるのかしら五十嵐ちゃんは。あ、もしかしてアタシのこと……」 「ネイル姉さん?歯に口紅が付いてるよ?」 「きゃあ!!見ちゃダメよぉ!!」 「あぁ……ネ、ネイルさん。今度はつけまつげが」 「いやぁあ!!」 「……うるせぇ」 俺の周りで騒ぐ仲間達。 キャラが濃いくて、自分勝手で、そしていつも明るい。仲間思いなパーティーメンバー達。 そんな中身はいい奴等が、これからーー。 痛い目に遭ってしまう。
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