二章 最強パーティーからの制裁

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「っ!!……ゴフッ」 「え?」 アルストリアの口から、大量の血が溢れ出る。 その胸には、深々と刺さった鋭い剣先が真っ赤な血に染まって突き出していた。 「な、に?」 突然の事に他のメンバーは、血を流して倒れていくアルストリアをただ呆然と見つめているだけだった。 こうなることを、俺だけが知っていた。 魔獣を倒して、消耗しきったところを狙う。それが、俺の元メンバーの作戦だったから。 「やれぇ!!テメェらぁあ!!」 男の声の合図に、剣や弓そして杖を持った男達がぞろぞろと現れ。何の躊躇もなく、俺の仲間達を殺し始めた。 冬野。ネイル。来栖。 叫ぶ暇も与えられないまま、アルトリアと同じように血を流して倒れていく三人。 たったさっきまでしていた、なんてないくだらない会話が嘘のように、この場は静まり返っていた。 「アハハハ!!なんだよ、クソ弱いじゃねぇかお前のメンバー!こんなクソみたいな奴等とパーティー組んでたのか?アハハハ!」 男達の下品な笑い声が、耳に障る。 というか、周りにいるこいつ等は誰だ? 「なぁおい」 「あははっ、あぁ?なんだよ」 「この無駄にガタイのいい男達は誰だ?全員お前のパーティー仲間か?」 ざっと見渡した限り、二十人近くはいる。 しかも全員、身体つきや持っている武器からして、結構強い冒険者ばかりのようだ。 「あぁそうだ!すげぇだろ!前のパーティーと同じくらいの人数揃えたんだぜ!ま。入ってくれなかった奴等は全員殺したけどよ」 「入ってくれなかった奴等?」 「いやな?ずっと俺、強そうな冒険者を見つけては俺のパーティーに入らないかって勧誘してたんだよ。でもよぉ~大抵の奴等は皆、今のパーティーを抜けるつもりないとか言ってよ?ならせめて、金目のものだけ盗んじまおうと思って……全員殺してた!」 「へぇ~」 って事は最近続いていた事件の犯人は、やはりコイツか。 「それより。これで今日からお前は俺のパーティーの一員だ五十嵐!また前みてぇに馬鹿やりながら、一緒に最強を目指そうぜ!」 差し出される手は、俺との握手を求めている。 けれど。 その手を取る前に、俺は一つ確認しなければならない事がある。
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