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◆ ◆ ◆
俺はうちのクラスのやつら(十八名)が昼休みをどこで過ごしているか、きっちり把握している。
お気に入りの場所だけじゃない。もしそこが他の生徒に占領されていたときに逃げ込む第二、第三の候補地も頭に叩き込んである。
たとえ、どんなに影が薄くて、地味なやつでも絶対に見つけられるのだ。
「鶴見っ!」
二階のトイレの右から三番目の個室。
ここに例の男が潜んでいることを俺はお見通しだった。閉ざされたドアを今すぐ蹴破りたい衝動をこらえながら、やさしくノックする。
「聞きたいことがある。出てこい、鶴見」
「うひゃああああ!」
薄っぺらいドアの向こう側、パーティが催されているような物音がする。ワアワアと歓声をあげたり、拍手したり、地団駄を踏んだり、壁を叩いたり。そのうちクラッカーでも鳴るんじゃなかろうか。
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