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外は月の無い闇夜。凍てつく空気に、息が白く滲む。
男はビルの屋上にいた。
上を見れば、月も星も沈んだ漆黒の闇。
下を見れば、寝静まった街の街灯や深夜営業の店のネオン、まれに車のヘッドライトが灯る。
それらが高層ビルの屋上に、3つの影を作り出した。
そのうちの1つがブルリと小さく震える。劈くような寒さの為か、それともー
「俺を笑わせないでくれ」
『俺を嗤わせてくれよ』
男は黒いマスクを口元に当てた。そして片手をスッと上げると同時に、3つの影は闇へと消える。
しばらくすると宴が始まり、笑い声は静かに響き渡る。踊る足音と引き裂かれる悲鳴。血と肉を抉る感触に 酔い痴れる。
あぁ、なんと素晴らしく、冷たい夜だ。
冷たい 、 夜だ。
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