好きになって、本当にごめん。

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「お父様なら書斎だから、ご挨拶してらっしゃいな~」 パタパタとスリッパを鳴らして去っていく後ろ姿を横目に、言われた通り、父親のいる書斎へと向かう。 咳払いと共に、ドアをノックする。 ーーコンコン 「馨です」 「…入りたまえ」 落ち着いた低音が返ってくる。 「ただいま戻りました」 成績表を差し出すと、にこやかな笑顔で受け取ってくれる。 じっくり検分した後、 「流石、馨くんですね!私はあなたを誇りに思いますよ」 心の底から嬉しそうな顔で誉めてくれた。 ーーー嬉しいな。 大好きな人に手放しで誉めてもらえて、面映い反面、頑張った甲斐があったと、ようやく嬉しさがこみあげてくる。
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