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支度を終え一階に降りる。
一階にはエプロン姿の見た目20代後半ぐらいに見える女性がいる、とゆうか俺の母親だ。
「あら、ラーくんおはよ~」
「うん、おはようさん」
"リエリア・ローナス"
小柄な体格、茶色の髪を肩口まで切り揃えたショートカットと垂れ目が印象的な美人系と可愛い系を足した様な人だ。息子の俺が言うのもなんだが…。
性格は良く言えばマイペース、いつもニコニコ笑っていてぽわぽわした雰囲気を持っている。
セナは若い頃のかあさんにそっくりなんだとか…。
因みに俺を呼ぶ時はラーくん、セナを呼ぶ時はセーちゃんと、ちょっと変わった呼び方をしてくる。
別に嫌じゃないけどこの歳になると少しむず痒い。
「さっきセーちゃんが慌てて出て行ったけどなんかあったの~?」
「ん?いや別に何にもなかったよ?」
言えない。…妹を押し倒して胸を触ってしまったなんて絶対に言えない。
「そお?なら良いんだけどね~」
あいも変わらずニコニコぽわぽわな母さんは通常運行の様だ。
「んじゃ、学校行ってくる」
そう母さんに行って玄関の方に向かう。
遅刻が確定しているとはいえ、一応急ぐ努力はしないとな…。
「ラーくん~?」
「ん?」
呼び止められ振り向く。
「はい!お弁当忘れてるわよ~」
いつのまにか近づいて来ていた様で目の前に青い包みで包まれた弁当箱をズイッと出してくる。
「ありがとうかあさん…でも昨日言ったけど今日の学園は午後から教員訓練実習があるから、午前中には帰ってくるよ」
「んー?……っあ!そう言えばそうだったわね~…どうしましょ~」
実は少し天然だ。
「いいよ、せっかく作ってくれたんだし帰ってきたらちゃんと食べるから」
自分で作る事を考えたらそっちの方が断然いい。
「ごめんなさいねぇ~?」
少ししょんぼりしてしまったかあさん、てか気にする事はないだろうに。
「全然いいって!寧ろ朝早くからありがとね、んじゃ今度こそ行ってくるよ!弁当は机の上に置いて!」
「わかったわ~!気おつけて行ってらっしゃいね~!」
ガチャッバタン
さて、今日もいつもと変わらない一日が始まる。
家を出て眩しい空を見上げる。
青い空、自由な鳥たち、賑やかな街。
うん。今日も平和でなによりだ。
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