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「ふぅ~んそっか…ま、立ち話もなんだしとりあえず乗りなよ、歩いて行くにしても時間掛かるしさ!」
聞いてくる割には大して興味無さげなのな…まぁべつにいいけど。
「悪いな、お言葉に甘えるよ」
せっかくのお誘いだしここは甘えるとしよう。
「何言ってるのさ、僕達の仲に遠慮は要らないよ!」
嬉しい事言ってくれるじゃないか…初等部の時からの付き合いだしな。
出会ってからかれこれ10年近くになるのか。
初等部の頃、俺は今より行動的で自称冒険家と名乗って王都中を巡り回ったものだ。
その時にたまたま入った屋敷がカース家だった。
今考えたらとんでもない事をしていたと思う…
当時6歳か7歳ぐらいとはいえ、最上級貴族であるカース家に無断で入り我が物顏で探検していたのだから。
その場で切り捨てられてもおかしくない状況にあったのにも関わらず、当時のカース家の使用人達は驚きはするものの直ぐにニコニコと笑い、俺を温かい目で見ていた。
ほんとよく俺生きてたよ…使用人達の警戒心なさすぎワロタ。
まぁそのおかげでエクトと友達になれたのだから感謝感謝だわ。
「ん?どうしたのラルフ?」
いかんいかん、考え事するとぼーっとしてしまう悪い癖が出ちまった…
「いや、お前と会った時を思い出してな」
「あははッ!懐かしいねそれ、今でも笑えるよ!」
笑うなクソイケメンが。
「いゃ~あん時は本当に傑作だったよね!メイドさん達が見知らぬ子供が屋敷で迷子になってますって笑いながら父さんに言ってたよ!」
「あれは迷子になってたんじゃない、探検していたんだ」
何故か爆笑しているエクトに睨みをきかす。
「ごめんごめん!そうだったね、あの後メイドさんに僕と父さんの所に連れて来られて開口そうそうに"俺の名前はラルフ!世界を駆け巡る冒険家だ!!"なんて言ってたよねププッ」
「うるさい、そうゆうお前だってオルガさんの後ろに隠れてうじうじしてただろ!」
「なッ!?あれは別に隠れていたわけじゃ無いよ!僕はただ警戒してただけで!!」
「よくゆうよ、プルプル震えていただろうに」
「いやあれは…」
そんな事を言い合いながら俺たちを乗せた馬車は学園へと向かっていった。
ちなみにオルガさんとはコイツの父親だ。
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