29(承前)

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 ひとりの作戦部下士官が少佐の元に走り寄り、なにか耳打ちした。兄がやってきて、緊張した面もちでタツオにいった。 「総司令からじきじきに、お呼びがかかった。おまえに話があるそうだ。いってこい」  クニとテルが驚きの顔で見ている。 「ぼくなんかにですか……」 「ああ、桐島総司令と口をきく機会なんて、めったにない。きちんと挨拶をしてこい」  タツオは兄に敬礼していた。 「はい、いってまいります」
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