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逆島少佐の口調がいつもより硬かった。将軍たちを前に緊張しているのかもしれない。それともこれから話すという軍事機密がよほど切迫しているのか。タツオの背筋にも鋼鉄の芯が通った。
「まずこの衛星写真を見てもらいたい」
逆島少佐が手をあげると、指揮所の中央にあるプールほどある3Dホログラフが、青い大海原を映しだした。海上を埋め尽くすように数百隻の軍事用艦艇が見える。空母の巨体だけでも6隻を数えた。上陸用舟艇は数が多すぎて数える気にもならなかった。数千は超えているのではないか。テルがつぶやく。
「おいおい……なんだ、こりゃ」
逆島少佐の声が指揮所に響いた。
「この衛星写真は氾帝国福建省泉州湾を、本日マルキュウマルマル(09:00)に撮影したものである。エウロペと氾の連合軍の上陸部隊が、南シナ海に結集しつつある。さらにマラッカ海峡を現在、新たな空母打撃群が通行中である」
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