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「八奈見さんのお仕事って何ですか?」 「弁護士」  やっぱり。短い答えに青ざめかけたが、その反応を見て笑われてしまう。 「…じゃない。金がかかるからそっちには相談したくないんだろ」 「は?」 「何だ君、俺の職業も知らずに相談しようとしてたのか?」 「弁護士じゃないって…じゃあ何なんですか?」  あからさまにむっとした口ぶりになってしまった。それでも八奈見はまだ笑っている。どんな表情をしても様になるからそれもまた癇に障る。  その感情が伝わったのか、今度こそ八奈見は真面目に答えてくれた。 「裁判官」 「サイバンカン」  晩餐館。  サリバンさん。  いや、ちがう。まったく関係のないワードが出てきて眉間を押さえた。  裁判官。そうか、裁判というものは裁判官、検事、弁護士がいる。書記官もいただろうか。自分に無関係なのでうろ覚えだ。被告人を追い詰めるのが検事、裁判を公平に裁くのが、裁判官。  まさか裁く側の人間だったとは。 「裁判官って、法律相談受けてるんですか」 「そんなわけないだろ」  グラスに一口付けてから、八奈見は呆れかえった声を漏らした。
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