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 何度か意識は現実に戻ろうとしたけれど、強烈な眠気によって阻止されてしまった。  なんでこんなに眠いのか。いや、そもそも睡眠不足だったのだろうか。  緊張していたのだろうか。それとも逆に気が緩んだのか。  目を醒ましたら、何故? 何? の疑問符だらけだった。  まず、知らない場所にいるようなのだ。  寝室? ドアが開け放たれている向こうに見えるのは部屋、だろうか。モデルルームのような広さのワンフロアだから、何かの施設や店舗の一室かとも考えた。  しかし、大きなベッドで寝ているというこの状況からして、病院なのかもしれない。庶民なのでそのへんは未知の世界だが、噂によるとセレブと言われる人間の利用する病院は高級エステサロンのような様相を呈しているらしい。その考察が最もこの場に適しているように思えた。  だが、高級セレブ病院とやらには縁もゆかりもない。  しかも、誰もいないのは何故だ。  きょろきょろと周囲を再度見回したが、そこで見つけたのはサイドテーブルに置かれた自分の荷物だった。いつも背負っている黒のリュックバッグ。外ポケットに携帯を入れてある。誰も連絡などしてこないだろうが、とりあえず何か情報を得るために手を伸ばそうとする。届かない。ベッドを降りようとしたところで、気配を感じた。そちらを見る。
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