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おねーちゃんの顔を、俯いて揺れる前髪のスキマから覗き見る。
僕は、おねーちゃんの怒った顔を想像してたけど、実際は、今にも泣きそうな顔をしていた。
おねーちゃんも、どうしたらいいか分からないみたいだった。
「いつものプレゼントみたいに、お父さんとお母さんの絵を描いて、ありがとうのお手紙書く?」
自信がない僕は小さな声で意見をする。
おねーちゃんは、ぶんぶんと首を横に振る。
「サンタさんは、そんなことしないよ。クリスマスは、特別なプレゼントじゃなきゃダメだもん」
おねーちゃんが泣きそうな声で言うから僕もつられて泣きそうになる。
「じゃあ、どうする? おねーちゃん」
僕は、泣きべそをかきながら、おねーちゃんを呼び掛けた。
おねーちゃんは、下唇をキュッと噛んでやっぱり泣きそうな震えた声で
「おばあちゃんとこに行く」
と言ってスッと立ち上がった。
広げた小銭をおねーちゃんは、小物入れに入れて、おばあちゃんの家に向かう。
おばあちゃんの家は、家から歩いて10分程の場所にある。
涙を服の腕の部分でぐいぐい拭く。
おばあちゃん家に行く準備を済ませて、一階に降りる。
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