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台所で夕食の準備をするお母さんに
「おばあちゃん家に行ってくる」
と声をかけて出かけた。
おばあちゃん家に行くまで、おねーちゃんは、一言も喋らなかった。
それに早歩きをするものだから、ついていくのも僕は、かけ足だった。
おばあちゃん家に着いて、昔っぽい引き戸の玄関を開ける。
「「お邪魔しまーす」」
二人で声を揃えると、奥からおばあちゃんが迎えてくれた。
「いらっしゃい二人とも。どうしたの? いつもは、電話してから来てくれるのに、今日は急ね」
僕は、おばあちゃんを困らせたのかと思ったけど
「玄関じゃ冷えるから、居間にいらっしゃい。温かいココアをいれるわね」
と優しく言ってくれた。
居間に入るとこたつに入って、新聞を読んでいるおじいちゃんがいた。
「おぉ、二人ともよく来たな。寒いから早くこたつに入りなさい」
おじいちゃんは、ニコニコしながら手招きしてくれた。
こたつに入ると暖かくて、さっきまで、悪い方向に考えていたプレゼントのことも、上手くいくんじゃないかとさえ思えた。
横に座っているおねーちゃんは、相変わらず口をへの字に眉をハの字に曲げている。
おばあちゃんがココアを持って来てくれた。
おばあちゃんは、おねーちゃんの態度でただ事ではないことを気付いてくれた。
何があったのかを、優しく僕達から聞き出してくれた。
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