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「え、何、それで、一文無しなの?!!」
「ああ!支払い額を言われてもよく分からなかったからな!袋ごと渡したら返ってきたのはコレだけだったぞ!」
「……………」
そう言ってジャンが、ガサゴソと見せてきた腰に下がっていた袋の中を見て、私とハルトは言葉を失った。
「なぁ、フィン。本当に腹減った」
「ん?何だハルト!お前も飯食ってないのか!」
「…………フィン」
「ハルト、ジャンに呼ばれてるわよ」
「………………」
「…………はぁぁぁ。とりあえず、宿のおばさんが言ってたご飯屋にでも行きますかー」
「お!いいね!飯ーー!!」
ジャンをパーティメンバーに迎え入れて約半日が過ぎ、倒したモンスターの、お金に変えらる部分を収穫して、今晩の宿のために最寄りの村まで辿り着いた私達だが、ジャンがパーティメンバーに加わった時以降、ハルトはジャンと一切話そうとしない。
確実に聞こえているはずのジャンの言葉をあえて無視して私に話しかけ続けるハルトの様子に、ジャンは怒る素振りを全く見せず、むしろそんなハルトの様子すら楽しんでいるようにすら受け取れる。
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