第3話 剣士はちょっとおバカな人でした

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 随分と懐の広い剣士なんだなぁ、と関心しつつも、そんなジャンの様子に、昔から人付き合いの苦手なハルトもジャンなら大丈夫かな、などと考え始めた時、「なぁ!フィン!」と口いっぱいに食べ物を詰めたジャンに名前を呼ばれる。 「何?喋るなら飲み込んでからにして」 「わふぁっふぁ!」 「…………ジャン?」  言ったそばから話し始めたジャンに、冷たい微笑みを向ければ、ジャンがハムスターのように膨らんでいた大量の食材をゴクンッ、と飲み込んで口を開く。 「すげー今さら何だが、こんなに頼んで大丈夫なのか?」  ジャンはそう言いながら、テーブルと私達を交互に見やるものの、食べる手を止める気は無いらしい。 「あら、だって、さっきのモンスターの角とか爪とか、換金したら結構良い金額になったじゃない」  ジャラ、と私が指でつつき音を立てるのはこの村に着いてすぐ手に入れた、来る途中で倒したモンスターの対価が入った私達のお財布。  もともと私の食べる量は標準で、ハルトは成長期の男子なだけあってそれなりに食べてはいたものの、山育ちの私達は道中に食べられるものをつまんだりしながら進んでいたし。  旅を始めてから今日まで、採取したものを売ったりしてきていたから、予算に困ったことは無かった。     
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