第3話 剣士はちょっとおバカな人でした

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 コトリ、と飲み物を置いた私を、ジャンは嬉しそうな表情を浮かべながら見つめる。 「これはいくら?」  そう言ってジャンに見せたのは、財布から適当に取り出した硬貨の数々。  チラリ、と見てもすぐに計算出来るような金額ではあるけれど。 「ん?そうだなぁ」  ふむふむ、と言いながら私の手のひらの硬貨を眺める様子に、私とハルトの嫌な予感は外れだったのだろう、と小さく安堵の息を吐いた瞬間。 「分からん!」  ニッカー!と良い笑顔を浮かべながら、私達を見たジャンの言葉に、ハルトは食べかけていたパンをポロリと落とした。 「……………えぇっと?ん?ジャン?もう一回言って貰ってもいいかしら?これ、いくら?」 「いやぁ、だから分からんって!こんな額数えたことないぞ!」 「……………お前」 「ん?何だ?」 「お前、バカだろ」 「んー、頭はあまり使った事ないな!そういえば!」  ゲラゲラと笑うジャンに、私は頭を抱え、ハルトは、肺の底の空気を全て出し切るような、深い溜め息をついた。 「思ったよりも前途多難な気がする」 「そうか?俺はフィンが居るなら」 「そんな言葉聞きたいんじゃないわよ」     
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