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一番古い記憶にあるのは、小さな頃。
まだお隣の仲良しな男の子、という印象だったけれど。
「フィンちゃーん!」
「ハルくん!」
幼馴染みのハルトの姿を見つけて駆け寄った私は、見事にすっ転び、痛みに涙を流した。
そして、そんな私の流れる涙を拭こうと、目の前の少年がポケットから、シマシマの布を取り出す。
「ほら、泣き止んで、フィンちゃん」
「っえぐ、あ、りがとう…っ」
グス、と差し出された布で目元を拭えば、ふと、妙に見たことのある布だな、と気がつく。
「………これ」
涙を拭いた布を広げてみれば、そこにあったのは、私の
「………これ、ぱん、」
「…………あれ?間違えて持って来ちゃったのかなー」
「…そっかぁ!」
しゅばっと手元から消えた私のパンツは、瞬く間にコイツのズボンのポケットに仕舞われた。
にっこりと笑うコイツに騙されたあの頃の私は疑うことも無かった。
「今なら言える。あの頃の私、あそこでコイツの息の根を仕留めとけよ、と………」
んぐぐぐぐぐっ、と近づいてくる変態を押し退けながらボヤけば、「何の話さ?」とふいに腕の力が弱まる。
「あんたに散々騙されて来たって話よ!」
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