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「うわっ?!!ちょっ?!!危っ」
「ッチっ!」
ギィンッッと金属と金属が激しくぶつかり合う音と、焦った青年の声が辺りに響く。
「え、ちょっと?!何?!オレ?!」
ガンッ、と次々に見舞われるハルトの攻撃を全て自身の持つ大きな剣で弾け飛ばす青年の顔には『困惑』の二文字が大きく浮かんでいて、攻撃をしかけるハルトに必死に声をかけるものの、ブツブツと何かを呟いているハルトの耳には一切届いていない。
それにしても。
「あのお兄さん、強いなぁ」
決してハルトが無敵、なんて事はこれっぽっちも思ってはいないものの、今のところ、喧嘩でハルトに勝った人間を私は見たことが無い、と思う。
そんなハルトの攻撃を余裕の表情で交わし続けている見知らぬ青年はきっと旅慣れもしているだろう。
そして何よりも。
「あ、ねぇ?!君?!実はオレの生き別れた兄弟とか?」
「あれ?違う?じゃあ、じゃあ、この前食い逃げしちゃった店から雇われた殺し屋?」
「あれ、それも違うのかぁ!じゃあ!っとおっと!!」
ガンッ、という音とともに振り落とされたのは、青年の剣、ではなく、ハルトの剣。
剣を手元から落とされたハルトは最高に不機嫌な表情を浮かべていて、相対する青年は終始困った表情を浮かべている。
状況としては、ハルトが明らかに分が悪い。
けれど、やっぱり。
「うん、ハルトより強い人、見つけた」
そう呟いて、私は次の攻撃を測り動きを止めた二人へと駆け出して行った。
「すみませんっ」
タタタタッ、と駆け寄ってくる足音と、聞こえてきた声に視線だけを動かして、オレは思わず固まった。
柔らかに揺れる淡いピンクの髪、動かす度にちらりと見える細く白い足。
走っているからか、ほんの少し蒸気したピンクの頬と、柔らかそうな唇。
そして、その唇から聞こえてくるのは、可愛らしい声。
そして何よりも衝撃的なのは
「あのっ、すみませんっ!」
「ブフゥッ!」
ドストライク過ぎる顔だった。
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