別れは突然に

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別れとは本当に突然だ あの時こうしていればなどと考えても大切な人は戻ってこない 六年前私とあの人は出会った 私は大学に入ると同時に一人暮らしを始めた 親の遺産で買った家の隣の家にあの人は住んでいた 家族と仲良く話している声がよく聞こえた 驚いたのは同じ大学だったということだ 私は精神科、あの人は小児科を専攻していた 学食や廊下であの人をよく見かけた いつも楽しそうに笑っていて、私に気づくと明るく話しかけてくれた 大きな声で喋るのが苦手な私の声に耳を傾けてくれた そしてたまにあの人の家でご飯を食べさせてもらったりした ある日、あの人と海に行った そしてあの人に告白された 私と一緒にいたいと行ってくれた とても嬉しかったことを今でも覚えている それから私達は思い出を重ねていった 手を繋いだり、抱きしめ合ったり、キスをしたり、夜の営みもした 恥ずかしかったけれど私は愛されているんだと思えた 親友と呼べる人もできた あの人に出会ってから本当にたくさんの幸せをもらった 大学を卒業後私たちは婚約をした 周りの人からたくさんおめでとうと言われた 研修を終えて医師免許を取ると私達が出会ってから五年の月日が流れていた そして私たちは結婚した 幸せを噛み締め、今後の人生をあの人と生きていくと誓った それからすぐあの人はガンになってしまった これからと言う時に私たちは絶望のどん底に落とされた 余命半年と診断され、涙が止まらなかった あの人はそんな私を笑顔で抱きしめた あの人が一番怖いはずなのに そして別れの日は来てしまった 病室で私と家族に看取られ静かに息を引き取った 二十四歳という若さだった
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