0人が本棚に入れています
本棚に追加
大げさなアクションをとりながらホタルが言う。モグラはそれを無視してパスタを鍋から取り出し、軽く湯切りして皿の上にのせ、少し火を入れ直したソースをその上にかけた。
「で、俺はどうすればいい。早く内容を話せ」
食器棚からフォークを取り出し、モグラは言った。
「せっかちですねぇ相変わらず」
モグラは返答のかわりにパスタをかきこんだ。トークをする気はないというのは行動で示している。ホタルはため息をひとつ吐き出すと、ファイルからレジュメを取り出す。
「仕入れ元はヤクザですけど、あくまでも仲介屋として動いてるだけみたいですね。薬局と同じですよ。処方箋もらって必要なぶんだけお薬を渡すわけです。実際にそれを流す売人自体はみんな小物ですね。そこを捕まえたり消したところで痛くもかゆくもないでしょう。ルートを潰しても無駄です。香港や台湾をはじめ、ヨーロッパにまでルートがあって、うまく使い分けてるんですよ。まあ今回の依頼はここらでそのお薬が出回らないようにすることですからね。処方箋を金持ちボーイ&ガールに渡してる奴を消せばいいわけですよ」
パスタを平らげ、皿をシンクに置き、モグラはホタルに訊いた。
「大物なんだろう。そう簡単に見つかるもんなのか?」
ようやく会話のキャッチボールができてうれしいのか、ホタルは嬉々として答えた。
最初のコメントを投稿しよう!