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「しょうもないですよね。金があれば堂々と表を歩きながら裏道の人と繋がれる。ウィンウィンのビジネス関係として。いやな世の中ですよ」  ホタルは大げさに悲観してみせる。本気でそう感じているのか、小バカにしているのかが分からない。 「モグラさんにはその佐久間を消してもらいたいわけです。でもですね……」  ホタルの言葉をモグラが手で制する。 「お前が身体で落としたやつが佐久間にも情報を流してるって言いたいんだろう」 「その通りです。さすがですね」 「嫌になる」 「仕事がですか? それとも今自分がいるこの腐った世界が?」  小首をかしげてそう問いかけるホタルの表情は大変に明るい。心の底から彼女が言うところの腐った世界を楽しんでいるのだろうとモグラは思う。 「ディナーをこんな話で台無しにしたことがだよ」  モグラがそう言うと、ホタルは声をあげて笑い、それは申し訳ありませんでしたと言った。  次の日、モグラは自分の雇い主である社長のもとへ向かった。  社長というのは愛称ではなく、きちんとした役職だ。     
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