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「はいはい。分かったわよ。佐久間隼人のことはホタルにきいたわね。ここ最近はレストランの経営に力を注いでるらしいわね。でも、佐久間はおいしいランチとディナーをリーズナブルに提供するための店舗作りをと言っているけど、本当の目的はそれを隠れ蓑にしてドラッグのルートを作ろうというわけ」 「そんなことが可能なんですか?」 「金と人脈をうまく使えばね。警察に尻尾を掴まれない限りはという条件付きだけど、お山の大将は身代わりを用意しているものだから」  つまり、仮に警察が佐久間を潰しにかかっても、うやむやで終わるということだろう。佐久間の部下なりが身代わりとなり、佐久間は責任をとって辞任するなりする。仕事を失っても生きていくだけの金は持っているはずだ。佐久間が逮捕される事態になったとしても、刑がそこまで重くなることもない。 「では、やはり消すしかないと」 「そういうことね」  ならば、もうあれこれ話す必要はない。自分の仕事は痕跡を残さず佐久間を消す。それだけだ。 「仕事はいつですか」 「一週間後の火曜日。アメヤ横丁の近くにあるクラブを貸し切ってパーティーをするらしいの。そこのクラブを潰してレストランにするから、最後にみんなで騒ごうってのが目的みたい」 「分かりました」 「道具はいつもの場所で受け取って。仕事を済ませてからもいつも通りに。さて、仕事の話はこれでおしまい。一杯どう?」     
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