0人が本棚に入れています
本棚に追加
栞は今年17歳の高校2年生だ。
部活はラクロスをやっていて、今年の夏に遂にレギュラーの座を掴んだ。
部活仲間を始め、クラスにも友達が少なからずいる。
こんな日は、誰かと話していたいとも思った。
だが、去年までの栞がそうだったように、クリスマスにはそれぞれの団欒があるはず。
それを思うと誰かに連絡する気にはなれなかった。
もういっその事寝てしまおう。
そうだ。こんな日は寝てしまうのが一番だ。
栞は寝支度をしてベッドに潜りこんだ。
このまま目が覚めなければいいのに。
そんなことを時々思う。
そうすれば、痛くも苦しくもないままで、私の世界を閉じてしまうことができる。
私が選んだ訳じゃないから、私は何も悪くないし、誰からも責められないどころか、憐れんでさえもらえるだろう。
きっと、眠れる森の美女みたいな美談になって終わるに違いない。
そうなってしまえばどんなに楽だろう。
私の失敗も、無かったことにしてもらえるんじゃないだろうか。
栞は頭が一杯で眠るどころじゃなかった。
だが、栞は必死で眠ったフリをする。
そうでもしないと、この夜をやり過ごすことができないからだ。
最初のコメントを投稿しよう!