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ドアの脇の壁に背を付けてクロスをぎゅっと握って待ち構える。
足音が進み、止まりを繰り返して、ようやく栞の部屋の前までやってきた。
――ついに、きた。
栞はクロスを振り被って力を込める。
外開きのドアがゆっくりと開いた。
ぬっと男が部屋に頭を入れた瞬間に、栞はクロスを思い切り振り下ろした。
ガッ!
「いってぇ!」
頭を捉えることには成功したのだが、仕留め損なったらしい。
栞は怯まずに何度も男にクロスを振り下ろした。
「いてぇ!いてぇって!止めてくれ!」
男は頭を腕で庇い、背中を丸めて攻撃から逃げようとする。
だが、栞はここで怯んではいけないとばかりに攻撃を続けた。
「違う!違うって!話を聞いてくれ!」
男は反撃しようとも栞を捕まえようともせず、唯、背中を丸めて耐えながら無実を主張している。
栞はなんだか少しいじめているような気分になって、攻撃を止めた。
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