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原案(あらすじ)
目覚めると、そこは冷たい風の吹く屋外階段の踊り場だった。
私は起き上がろうと両手をつく。足を動かして足首に力を込めると、激しい激痛が体を襲う。何が起きたのだろうか。何があったのか、思い出そうとすると激しい頭痛を伴い、眩暈さえ起こす。
ここは一体どこなのか。私は誰なのか?
冷たい風が体の熱を奪っていく。そう・・・。まるで、私の周囲にいる人達の思いや感情と同じく、私の夢に向かって走っているエネルギーを奪う嫉妬や中傷のように。
誰かが近づいてくる足音が聞こえる。誰?あなたは誰?
「どうした、さやか!大丈夫か?」
この人は私のことを知っているの?私は・・・、『さやか』という名前?
この人は一体誰?
「119番ですか?救急車を!早く、救急車を」
彼が何かに向かって叫んでいると、周りが徐々に騒がしくなってきた。
「どうした?柳井君」
「見つかったかのか?」
「さやかちゃん!どうしたの?怪我しているわよ」
「さやか!いたか!」
いろんな人たちが私の周りで騒ぎ始めたけど、あなた達は一体誰なの?私は、ここで何をしているの?
誰かが叫んだ。私は記憶を失ったようだと。だから、あなた達のことに限らず、自分の事もわからないのか。私は一体誰なの?
私の記憶を取り戻そうと頑張る人たちが、いろんな人を呼んでは、私に会わせる。アイドルオタクな刑事?ゴシップ好きな探偵?法破りな弁護士?有名になりたい番組プロデューサー?童貞のAV監督?妄想だらけの守護霊達?。
でも、私は何も思い出せない。だけど、何か一つ、大事な事を忘れている気はしている。大事な事。何だろう・・・。思い出そうとすると、逃げ出したくなる気持ち。
唯一つ、柳井と呼ばれる、私を最初に見つけてくれた人は、私の恋人らしい。私の現在だけじゃなく、過去も知っているという人。彼が全てを教えてくれる。
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