願いごと

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ある日、仲の良い二人の高校生がいました。登校から下校まで一緒です。休日も一緒に遊びます。お互いの家へ遊びに行くから、それぞれの両親とも顔馴染みです。 今日は、学校の帰りに神社へ立ち寄りました。この神社に願掛けすると、願いが叶うというものです。この二人の名前は、マリとエリです。マリは、普通の母親になるように願います。エリは、他の時間が見えるように願います。とりあえず願掛けを済ませると、いつものように帰宅しました。マリもエリも両親と一緒に夕食を食べると、風呂に入ってベッドに入りました。 それから1ヶ月経つまでは、二人とも何の変化がありませんでした。しかし、エリには、少しずつ変化が見られるようになってきました。 試験が近づいて、これから出題される試験の問題が予めわかるのです。エリはこのことを誰にも言わずに、試験の問題を解いてみました。何度も数を重ねるうちに解答率が上がってきます。そうして迎えた試験当日、エリは予想通りの問題の解答を解答用紙に記入しました。試験は終わり、いつものように二人は一緒に帰宅しました。 後日、成績発表がありました。最高点獲得者はエリです。 いつもの上位者の上に立ったのですから、妬む者が現れます。そこで、エリが何を願ったのかマリにわかってきました。自分が誘った事だったので、エリが急に優等生になった事を妬むことはしませんでした。 しかし、高校は成績で篩にかける所です。進路指導で、エリは四大へ、マリは短大へ進学するように勧められました。二人ともそれぞれの志望校へ願書を提出して、試験日になるとそれぞれの会場へ出向いて試験を受けます。 元々、進学校ではなかったから、進学する大学も政治家・官僚を輩出する超エリート校ではありません。その高校の偏差値に応じた大学へ進学したに過ぎません。卒業後は、同じ病院や幼稚園で再会するであろう学校へのチケットを手に入れた二人は、両親からお祝いを受けました。 卒業式が終わり、春休みの間に準備を進めてそれぞれの大学・短大の入学式に望みます。二人ともしばしの別れですが、卒業後は隣接する小学校と幼稚園の教諭になることになってます。二人ともそれぞれの授業や試験を繰り返しながら、採用試験に合格すると、マリが先に幼稚園で働きます。二年後にエリが小学校の教諭になります。二人は運動会などの打ち合わせで顔を合わせるようになりました。
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