青春時代

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青春時代

マリとエリが隣同士の職場で働くことになって、数ヶ月経ちました。どっちとも教育者として働いているので、情報交換が頻繁に行われます。小学校側は、来年度入学生の情報が、幼稚園からガンガン入ります。そこへ、更にエリの透視力が加担します。モンスターペアレント対応も、エリによる事前情報によってかなりの確率で解決しています。同僚である小学校の教諭もマリもパワハラ対策にエリを頼る有様です。今度、マリとエリは、温泉へ一泊旅行に行くことにしました。 土曜日の夕方、二人は山あいにある温泉へ入館しました。そこで露店風呂付きの大風呂に入って体を休めて、風呂上がりに地元産の幸ふんだんな懐石料理を食べました。ビールも飲んでほろ酔い気分になっています。アルコールの勢いもあって、それぞれの職場のグチを言って盛り上がりました。言いたいことを腹の底から出してスッキリした二人は、布団の中に入って眠りにつきました。 次の日、二人は朝風呂に入り、朝食を済ませると十時までにはチェックアウトしました。エリは、何か言いたそうにしています。何事かマリは問いだたしました。 「貴女は、数年後には幼稚園にはいない。普通のお母さんとなって、育児に没頭してかつての後輩に自分の子供を預けることになるよ」とエリが答えます。 そこで、マリはハッとしました。最近、周囲から縁談が持ち上がっていたからです。仕事が忙しいからといってそういう話を右から左へ受け流していたからです。よく考えると、数年後には二十代後半にさしかかります。もうそういう歳なのかなとマリはふと思いました。二人は挨拶してそれぞれの家へ帰っていきました。 次の日からも二人はそれぞれの職場で働きます。相変わらず朝から晩まで慌ただしく過ぎていきます。パワハラ・クレーマー対策係として正義の味方を買って出るエリには、マリの相手もお見通しです。エリは、今度の縁談を受けるようにとマリに伝えます。マリもエリを信用して、お見合いの話を受けることにしました。マリは、それを実行すると交際へ発展しました。そして、結納、結婚式の日取りを決めます。エリにも招待状が届きました。 結婚式当日、新郎新婦が入場した式場は花の舞台となりました。式が滞りなく終わると、新婚旅行に行く二人を見送った招待客はそれぞれの家へ帰りました。
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