エリと専業主婦マリ

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エリと専業主婦マリ

入園式が終わり、オリエンテーションも済ませたら、各家の親子は帰って行きました。マリは、ふと隣の小学校を見ました。その小学校には、エリがいません。他の小学校へ転勤したからです。教育委員会は絶対ですから、辞令が出ると承諾せざるを得ません。中には、自分の安定した地位を確立しようと、理事長に性接待する者がいる有様です。 そこは透視力でその手を使わず、要領良く仕事をするので悪評を出さずに済みます。エリは、保育士・園長との摩擦を避けるため、マリの育児に口を出しません。マリが義父母との摩擦の事で悩んでる時にあの透視力を使うのです。 マリは、面倒な舅・姑・小姑をエリの透視力で上手いこと掌で転がすようになりました。モンスターペアレントに慣れてるはずですが、書類上の家族となると腐れ縁になって面倒くさいものです。2年で顔を見ずに済むモンスターペアレントの方がマシでした。 親友の家庭に陰で口を出すエリには縁談すら出ません。要領が良いとはいえ、休みが取れないからです。理事長を巧く躱した代償かもしれません。あの透視力で隙がないから誘いがかからないようです。エリも下心がある男に胡散臭さを感じて、巧く断り文句で躱します。そのうち、エリに声をかける男は減っていきました。 自ら願ったとはいえ、願いごと通りの結果を出して、わずか二十代後半で対極な人生を送るようになりました。 マリはまた妊娠して、今度は女の子を出産しました。マリ夫婦は、その子をトモと名付けました。妹ができたテツも大喜びです。年長組さんになったテツは、トモを伴ったマリに送られます。お遊戯会や運動会も赤ちゃんのトモを抱いたマリが見に来ます。 トモが1歳の誕生日を迎えると、誕生パーティーを開きました。それからまもなくテツが卒園することになりました。 卒園式の日が来ました。ヨチヨチ歩きのトモを連れたマリを含む母親たちが見守る中、式は滞りなく行われました。式が終わり、マリ親子は保育士・園長・他の父兄に挨拶した後に帰宅しました。その日は、テツの卒園を祝うホームパーティが行われました。このパーティーは、子供たちが寝たらお開きになりました。 マリたちは、忙しい春休みを迎えます。僅かな時間で入学準備を済ませて、テツの入学式の日を迎えるのです。
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