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テツとトモ
テツは小学校の生活に慣れてきました。少しずつ習う教科がグレードアップしていきます。学校から帰ると外で遊んでから宿題をします。わからないことは、マリに勉強を見てもらいます。
テツが学校へ行っている間は、トモが母を独占しています。家事の合間に、遊んでもらいます。母のお手伝いをしようと見よう見まねで洗濯物の折りたたみや掃除機をかけるようになってきます。ヘルパーとしては物足りない所がありますが、それでもマリはトモに「ありがとう」と褒めます。
2年経つと、テツは小学三年生に進級します。トモは幼稚園に入園します。今度は、テツ抜きで入園式に臨みます。こうして、マリはひとりの時間を持つことになりました。
テツは町内にある少年野球チームの練習を見て、自分もやりたいと両親に相談します。
「宿題をきちんとするならやってもいい」という父の一言で、その野球チームに参加するようになりました。
マリは、汚れた練習着やユニフォームの洗濯が増えます。会費の徴収や運営の手伝いと予想しなかった面倒な仕事が増えました。当然、他の父兄との確執も出ます。そこを、あの透視力で切り抜けました。マリは、女の幸せを掴まなかった親友の能力が天からの声として我が家に届く事を毎晩感謝します。
その透視力はトモにも届いてますが、そこは幼稚園の連絡帳で任せてます。気配りができるのに、超能力者を嫌がる世間の人の狭い視野で、エリは魔女のように扱われました。
エリは、生涯独身で終わる事はあの能力で知っています。死後に国から表彰されることも分かってます。その透視力を一生の財産として世の中のために使おうと決めているのです。
マリは幼稚園の遠足や運動会に参加したり、小学校の運動会や発表会、少年野球チームと体がいくつあっても足りない生活に追われます。抽選で当たるとPTAの役員も勤めなければなりません。町内会も何十年周期で役員の仕事が回ってきます。ただでさえ忙しいマリは、当たらないことを祈ってます。それから2年経つとトモは小学生になります。
テツが小学五年生になり、トモが新一年生として入学します。トモが卒園したことで幼稚園と手が切れたマリは、余分な世界が一つ減って内心ホッとするのでした。
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