小学生と中学生

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小学生と中学生

テツは中学校へ入学しました。マリは、父兄席からダブダブな制服を着た新入生の席へ目をやります。中学校の制服を着た小学生のような生徒たちは緊張しながら式に臨みました。 その後、生徒たちは教室へ入ります。父兄の方々は、別の教室で説明を受けます。最後に、我が子がいる教室の後ろの空間でホームルームを参観します。自らカメラマンになってそれを撮影する親御さんもいます。教諭の合図でホームルームが終わると、各自親御さんと一緒に帰宅しました。マリとテツは昼ごはんを食べた後、明日からの授業の支度をするのでした。少年野球も卒業したテツは、野球の練習に出かけることはしませんでした。その晩、テツの入学祝いをしました。今度も子供たちが主役です。テーブルに置いた散らし寿司は、殆ど子供たちの口に入っていきました。トモの伴奏で歌を歌います。この楽しいひと時を過ごすと子供たちはベッドに入りました。夫婦は少し晩酌してから寝ました。 中学生になったテツは野球部に入部します。少年野球チームのキャリアがあるとはいえ、新入生は球拾いやグランド整備などをさせられます。テツも文句を言わずにそれをしました。学校ではみんなと一緒だから、そういうものだと思いますが、家では振り出しに戻った自分を妹に見せられないジレンマを感じます。家では、妹となるべく顔を合わせないように部屋の中へ入ったまま、トイレと食事の時しか出なくなったのです。 一方、トモはピアノの練習に明け暮れる日々を過ごしました。教本もグレードアップしていきます。発表会もあります。母とドレスを選んで、それを母が観ている発表会で着るようになりました。家のピアノは消音機能が付いており、ヘッドホンを付けた本人だけが聞こえる仕組みになっているから、誰にも迷惑がかかりません。音楽の授業では、鍵盤の上手い子として一目置かれる存在になります。五年生になると合同演奏会の鍵盤を任されます。リコーダーの児童から見ると花形のポジションです。トモは他の児童からの妬みを気にせずに自分の役をすることに集中しました。 上級生になったテツは正選手として試合に出場します。引退すると野球が強い高校へ進学することになりました。卒業式の後、後輩から贈り物をされたテツはトモの伴奏でのパーティーの主役になるのでした。
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