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血脈の自覚
和哉は終業のチャイムが鳴ると、誰と会話するでもなくひとり荷物をまとめ校門を出た。それは和哉にとってもクラスメイトにとっても特に変わらない、いつもの光景であった。
彼は急ぐようでもなく、普段通りに自宅に向かった。
和哉は都内の高校に作年入学し、それからほぼ一年たった今も入学当初と同じような毎日を過ごしていた。
細身であったが身長は同年代の生徒に比べても高い方であったし、何より黒髪に蒼い眼であった彼は学内で目立つことをことさらに避けていた。
入学当初は、この蒼い眼が他の学生から奇異の眼で見られることを認識していたので、カラーコンタクトを付けていたが、ある時ちょっとした拍子で外れてしまい、それをきっかけに、暫くの間ほかの学生間で噂になった事があった。それを期に、両目ともコンタクトを外して過ごすことにしていた。人の噂もなんとやらで、しばらくすると誰も彼の眼の色を話題にすることは無くなっていた。
彼自身、その話題が出ると、実は祖父母が外国人で、その眼の色が遺伝したのだと話すことにしていた。ほとんどの学生はそれで納得し、それどころかうらやましいとさえ言うものもいた。
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