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「きよの二つ名は決まってるよな」
「えっ、なんですか?」
「“腐敗せし聖女”」
「ふ、腐女子なのはあんまり知られたくないんですけど……。まあいいです……。新太さんは?」
「“汎用人型凡人”」
「なんだそれ」
「器用貧乏って意味」
「喧嘩売ってんのか?つーか、優輝こそ、二つ名なんてこれしかないだろ」
「「「“女性愛好家”」」」
三人でハモってしまう辺り、俺たちパーティの団結力の証拠だ。しかし、澄心は楽しげに、俺は誇らしげに、新太は呆れたように、と、声音はそれぞれ違っていた。
新太は言う。
「女子が好きすぎて女子になりたくなるってのがマジで理解できない。本当に分かんない」
「俺も何故てめーが分かってくんねーのか分かんない」
「何故も何もないだろ。オレが普通だから」
「そーですね、汎用人型凡人さま」
新太は舌打ちした。
「そうだよ凡人だよ。悪いかよ、この変人」
「あ、あのう……話、ずれちゃってますよ……」
険悪になり始めた雰囲気を鈍いなりにどうにか察したらしく、澄心があわあわと口を挟む。フードコートは相変わらずうるさい。周りの喧騒と、俺たちの睨みあいに負けじと口をパクパクさせている澄心。
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