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その日はバイトがなかったので、薫はまっすぐ寮に帰った。
(絵莉子ちゃんはいつもサークルに行くかバイトをしてから帰ってくるから、今日も私の方が帰るのは早いはず。今日は絵莉子ちゃんが帰るまで待とう、それで……昨日のこと、謝りたい)
寮の廊下には、薫の足音だけが響き渡る。
(でも、なんて言って謝ろうか? なんであんな態度をとってしまったのか、自分でもうまく説明できない)
薫は部屋の扉を開けた。
(ん? 電気がついてる?)
「あっ、おかえり」
部屋の中では、絵莉子がテーブルでノートパソコンを広げ、何やら打ち込んでいる。薫は小さく返事をした。
(……先に帰ってきてたのか。どうしよう、どうやって話を切り出すか、まだ考えてなかったんだけど)
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