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試験期間に入ってから、学生たちは休日もレポートやら試験勉強やらに追われていた。
薫と絵莉子もそれは例外ではなく、バイトがない限りは部屋のテーブルにかじりついていた。
絵莉子は薫の目の前で、眉間に皺を寄せながらノートパソコンのキーボードを叩いていた。
「はぁ……全然字数が足りない……」
そう言った後にがっくりと肩を落とす。
薫はそんな絵莉子を尻目に、教授へのメールにレポートを添付し、『送信』ボタンを押す。
「私はレポート一本終わった」
薫は余裕のある表情で、机に置いていたカルピスをすする。
「え~っ、なんでそんなに早く終わるの」
「事前にコツコツやってたからです。私は期限直前に焦るようなことはしません」
「厳しいっ!」
絵莉子は再びパソコンに向き直る。が、しばらく唸った後、天を仰いだ。
「文章が浮かばないよ~う……なんも終わってないけど休憩……」
絵莉子もカルピスに手を伸ばす。コップの中の氷がカラカラ、と音を立てた。
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