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「花火大会、あるよね。誰かと一緒に行ったり、するの?」 もともと口数が多い方ではないが、今回は輪をかけて歯切れが悪くなる。 「今のところは、誰かと行く予定はないよ?」 「それなら一緒に行かない? いや忙しいとかサークルの人に誘われるかも知れないとかなら断ってくれていいんだけど」 先ほどとは変わり、つい早口になる。 (なんか変な感じになったかも、人を遊びに誘うのは慣れてないから……) 薫は内心冷や汗を流しながら、俯いた。しかしそんな薫をよそに、絵莉子は明るい声を出した。 「えっ、行きたい行きたい! 行こうよ!」 薫はほっと息をついた。絵莉子はこぼれんばかりの笑みで続ける。 「嬉しいなあ、そういえば薫ちゃんと遊びに行ったりするの初めてだもん。それに薫ちゃんの方から誘って誘ってくれたのもすごく嬉しいよ」 絵莉子の素直な言葉に、薫は戸惑った。 「そんなに喜ぶことかな……何はともあれ、楽しみにしてる」 「うん! 私もすごく楽しみ! レポートのやる気も出てきたぞ~!」 絵莉子はノートパソコンを勢いよく開けた。薫はそれを見ながら、自分もつられて口角が上がっていることに気がついた。
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