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花火大会会場の最寄り駅は、いつもより人で溢れかえっているように見えた。薫は行き交う人たちを眺めながら、絵莉子が来るのを待っていた。二人ともその日の昼間はバイトがあったため、寮ではなく駅で待ち合わせることになっていた。  薫はカバンを探って、中に入っている小さな袋に触れた。絵莉子の誕生日に渡しそびれたプレゼントだ。  しばらく待っていると、人混みの中によく知った姿を見つけた。 「あ、薫ちゃん、お待たせー!」  絵莉子は薫を見つけると早足でやってくる。薫は軽く手を挙げて応えた。そしてそのまま二人は駅の外へと歩いていった。 「なーんか、寮の外で待ち合わせて合うのって新鮮だね。」 「確かに。いつも同じ部屋で生活してるのに、変な感じ」  二人は顔を見合わせて笑った。
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