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外はすでに薄暗くなっていた。駅前の大通りに面した歩道には屋台が並んでいる。絵莉子はさっそくたこ焼きの屋台に飛びついた。
「ね、ね、たこ焼き分けっこしようよ」
「いいよ」
薫は買ったたこ焼きを何も考えずに口に放り込む。すると余りの熱さに目を見開いた。
「あはは、そんな一気に食べちゃだめだよ」
絵莉子は目を白黒させながら口元に手をやる薫を見て、楽しそうに笑っている。
たこ焼きを食べ終わるや否や、絵莉子は薫の手を引いた。
「あっ、射的だって! やろうよ!」
薫は駆け出す絵莉子に慌ててついて行った。
それからはずっと同じような調子で、絵莉子に連れられるままにあちこちの屋台を巡った。
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