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「ただいま」
部屋のドアを開け、声を発する。しかし返事は返ってこない。
(まだ帰ってきてないか。…平日はたいていサークルかバイトに行ってるから)
薫は小さく溜息をついた。薫と絵莉子との生活リズムは全く違ったものであり、そのため同じ部屋でありながら顔を合わせることが少ない。それは今に始まったことではない。
しかし、サークルの新入生勧誘活動のためか、ここのところ絵莉子は格段に忙しそうにしていた。薫と絵莉子が部屋で話す機会も少なくなっていた。
去年の薫にとってなら、ルームメイトと話さずに済むのはありがたいことであった。しかし、今は全く違っていた。
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