5

7/8

23人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 絵莉子は少し驚きながら、紙袋を受け取る。 「開けてもいい?」  薫はこくりと頷く。絵莉子は袋を開け、中身を取り出した。それを見た瞬間、薫はしまったと思った。綿毛のような白いファーの付いたイヤリングは、夏真っ只中の今には合わない。  しかし絵莉子はそれを手に取って眺め、うっとりとつぶやいた。 「かわいい……薫ちゃんが選んでくれたの?」 「うん、でも季節外れだよね」 「ううん、うれしいよ! ありがとう。付けてみてもいい?」  絵莉子は薫の返事も待たずにイヤリングをつける。  イヤリングは思った以上に絵莉子に似合っていた。しかし蒸し暑い夏の夜に見ると、やはり季節外れという印象は拭えない。 「私、気の利いたプレゼントもあげられないし、話すのも上手じゃないけど。それでも良かったら……特別な関係に、なってほしい」  絵莉子は薫の膝にそっと手を乗せた。 「よろこんで」  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加