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絵莉子は少し驚きながら、紙袋を受け取る。
「開けてもいい?」
薫はこくりと頷く。絵莉子は袋を開け、中身を取り出した。それを見た瞬間、薫はしまったと思った。綿毛のような白いファーの付いたイヤリングは、夏真っ只中の今には合わない。
しかし絵莉子はそれを手に取って眺め、うっとりとつぶやいた。
「かわいい……薫ちゃんが選んでくれたの?」
「うん、でも季節外れだよね」
「ううん、うれしいよ! ありがとう。付けてみてもいい?」
絵莉子は薫の返事も待たずにイヤリングをつける。
イヤリングは思った以上に絵莉子に似合っていた。しかし蒸し暑い夏の夜に見ると、やはり季節外れという印象は拭えない。
「私、気の利いたプレゼントもあげられないし、話すのも上手じゃないけど。それでも良かったら……特別な関係に、なってほしい」
絵莉子は薫の膝にそっと手を乗せた。
「よろこんで」
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