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(去年までの私は、人と関わることも、向き合うことも諦めていた) コタツに足を突っ込み、何ともなしにテレビを見ながら薫はそう思い返した。 (二人部屋の寮に入るのを決めたのだって、ただ単にそれが1番お金がかからないからなのに。それに、私の体のことも隠し通すって決めてたのに) 絵莉子と過ごしていくうちに、彼女といるときだけ自分が張っていたバリアがなくなっていくのを感じていた。そして、気が緩んだ時にーー自分の秘密は絵莉子に知られることになってしまったのだ。 (でも、今ではそれでもよかったかも知れない。絵莉子ちゃんにも秘密があるって知れたから。…自分以外の人にも何か抱えてるものがあるなんて、考えたこともなかった) 自分は絵莉子と出会って大きく変わってしまった、と薫は思う。 (絵莉子ちゃんは、私にとって大きな意味を持つ人。…絵莉子ちゃんにとって私がそうではなくても)
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