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絵莉子へのプレゼントは、誕生日になるまで引き出しの中にしまっておくことにした。 誕生日当日の夜、薫は絵莉子が帰ってくるのを待つことにした。今日は、どれほど絵莉子の帰りが遅くなっても起きているつもりであった。 テレビをつけて、当たり障りのない旅番組を見る。ナレーターのゆっくりとした話し方を聞いているうちに、薫はうつらうつらと船を漕ぎ始めた。 薫がテーブルに突っ伏して眠りそうになった時、いつもより少し乱暴なドアの音が聞こえてきた。思わずドアの方を見ると、知らない誰かに支えられた絵莉子が見えた。何が起こったのか、と一瞬心配になったが、よく見ると絵莉子が無理やり肩を組んでおり、誰かは仕方なしに支えている、といったような様子であったため、心配はすぐに消えた。 「あ、エリと同室のヒト? この子酔っ払っちゃってて…じゃ、後はよろしくお願いしまーす」 そう言うと、絵莉子に無理やり肩を組まれていた人物ーーおそらく絵莉子のサークルの友人だろうーーは絵莉子を引き剥がし、半ば薫に押し付けるようにしてその場を立ち去っていった。薫はその様子を唖然として見つめていた。
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