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安っぽいベンチに寝心地を求めはしないが、ここまで腰が痛くなるものだろうか。
男は、痛む腰をさすりながら、タバコをくわえた。
外回りが終わって、いざ戻ろうとしたら、急に雨が降りだした。天気予報でも急な雨に注意とは言っていたので、レインコートを着てはいたものの、雨足があまりに強かった。
疲れている体に、雨というのは堪える。どこか雨宿り、ついでに昼寝でもできる場所はないかと、男は周囲を見渡した。すると、向かい側のボウリング場が視界に入った。
男は疲れた体に鞭打って走り出し、ボウリング場へ向かった。
ボウリング場の中はほどよく空調が効いていて、心地良い。男は入り口近くに置いてあったベンチに寝転がり、そのまま眠りについた。そして、今に至る。
やはり寝る場所は選んだほうがよかったかもしれないと、男は今更ながら後悔していた。
タバコに火を点け、ベンチから立ち上がり、窓の方へと歩み寄る。窓から垂れる水が、まだ雨が降り続いていることを示しているが、一応外を覗いてみる。雨宿りする前と、降っている量はさほど変わらなかった。
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